入居者に安全で質の高い介護を提供するためには、介護職員の心構えが重要です。
たとえば、ある種の「傲り」のようなものを持っていると、入居者に不快な想いをさせてしまうことがあります。
入居者の方々は職員のサポートのおかげで生活できていることは確かなのですが、その事実が、介護職員に不要な優越感を与え、それにより入居者を下に見るような発言や行動を取ってしまうことがあるのです。
それがいきすぎると、過剰な干渉をしたり、言うことを聞かない入居者に対して肉体的・精神的な暴力をふるったりするようになってしまう場合もあります。
もちろん、すべての職員がそうというわけではなく、そういった言動が一切ない方も多いでしょう。
しかし無意識にそういう言動を行ってしまう場合もあるため注意しなければなりません。
こういった事例を防ぎ、加害者にならないようにするためには、どのようにすべきでしょうか。
重要なのは、高齢者も一人の人間としての尊厳を持つという心構えを持つことです。
「人間の尊厳」とは、どんな人間も等しく持っている、自分の人生を自分らしく生きる権利のことです。
それは高齢の方であろうが、日常生活が困難な方であろうが当然持っているものであり、それを踏まえた上で介護を行う必要があります。
たとえば、入居者に過剰な干渉はせず、常に見守りつつもプライバシーに配慮した行動をとるなどが、尊厳を意識した行動だと言えるでしょう。
そういった行動の積み重ねによって、介護施設全体が健全なものになっていくのです。